皆さん、こんにちは。
「スピークバディ パーソナルコーチング」コーチのDateです。
先日行われたウェビナーに関して、たくさんのご質問をいただきました。
その中で「この英単語がどうしてこういう風に聞こえるのかがわからない!」といったご質問も多かったので、今回は二つ厳選して解説したいと思います。
さっそく見ていきましょう!
1.want to が「ワナ」と聞こえるのはなぜ?
want to は「ワント トゥー」と発音されるかと思いきや、ネイティブの発音を聞いていると「ワナ」と発音されることがあります。
どうしてこんな発音になるのでしょうか?
発音の確認に入る前に want to という表現をサラッとおさらいしましょう。
want to は、動詞 want と不定詞 to からなる表現で「~したい」という意味です。
want は動詞なので文の中で重要な役目をもちますが、不定詞の to はそれ自体に意味があるわけではないので、want よりも重要度が下がります。
実は、英語では、重要度が低い単語は軽く発音されることが多くあるのです。
このことを念頭に置いて、want to の発音をそれぞれの単語ごとに確認してみましょう。
- want → ワント
- to → タ
先述のとおり、不定詞 to は軽く発音されるため、「トゥー」ではなく「タ」のように聞こえます。
ここで、want to の発音に戻って考えてみると、
- want to =ワント タ
のようになります。
でも、これはとっても発音しにくいですよね・・・!
したがって、
- want to = ワント タ
の最後の部分がつながって
- want to = ウァンタ
のようになります。
ここでとどめです。
アメリカ英語では特に顕著なのですが、英語には「t が n の後に来ると聞こえなくなる」という法則があります。
ですので、
- want to = ワンタ(wannta) → ワンナ(wanna)
話し言葉ではさらに短く発音されるため、最終的に「ワナ(wana)」という発音になります。
ちなみに、この音声変化はさまざまな単語で見られます。
一例をご紹介します。
- going to →「ガナ」
- got to「ゴダ」
余談ですが、私は鹿児島出身で、鹿児島弁の単語の略し方はすさまじいのですが(「「犬」」→「いん」など)、英語の発音の仕方にも同じように大胆な省略が起きているのですね🐶
2.can と can't の発音が聞き分けられません。
can は「キャン」、can’t は「キャント」と習いましたよね。
しかし、実際にはどちらの発音もほとんど同じに聞こえることが多々あります。
ちなみに、can や can’t の発音は国によってかなり異なります。
イギリス英語では can が「カン」のように聞こえるというのを聞いたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回はアメリカ英語の発音を例にご説明したいと思います。
can や can’t の発音の違いを聞き分けるのはなかなか難しいのですが、発音の前に can と can’t の重要度の違いを知っていただければと思います。
次の例文をご覧ください。
➀ I can play the piano.「ピアノを弾くことができます。」
② I can’t help it.「我慢ならないです。」
➀の文で最も重要な情報は「何が」できるのかということです。「ピアノを弾く」ことができると伝えたいのだから、最も強く発音されるのは play の部分です。
したがって、その前の can はある意味「付加情報」程度の扱いなので、当然重要度も下がります。
英語では重要度の低い単語はあいまいに発音されるので(want to の to が「タ」のように発音されるのも同じ理由です)、can ははっきり「キャン」と発音してさえもらえず「キン」のように聞こえることが多いです。
これに対し、②の例文では
これ以上我慢する「ことができない」点にフォーカスされています。
「もう我慢できないんです。勘弁してください。もう無理なんです。」という心の声が込められているのが伝わるでしょうか?
その結果として、can’t が強く発音されることになります。
can’t の発音については二つのポイントを押さえておくといいかと思います。
まず一つ目が「強調される単語は長く強く発音される」ことです。したがって、「キャント」→「キャーント」のように長めに発音されます。
二つめのポイントは、want のところでもご説明した「t が n の後に来ると聞こえなくなる」という法則です。
これにより can’t の t は発音されなくなるため、「キャーン」のように聞こえます。
まとめると
・can →「キン」
・can’t →「キャーン」
のように聞こえる場合が多いです。
ただし、いつもこの法則が当てはまるというわけではなく、場合によってはcan →「キャーン」のように聞こえることもあります。
先ほどの➀の例文で考えてみましょう。
➀ I can play the piano.「ピアノを弾くことができます。」
という場合、大抵は「ピアノを弾く」ことができるということを強調したいので play を強く発音し、can はおまけ程度に発音されることをご説明しました。
では、あなたはピアノを弾くことができるのに、相手からこんなことを言われた場合はどうでしょうか?
I don't think you can play the piano.「あなたにピアノが弾けるとは思えません。」
これはムカっときますね!(笑)
言い返してやりたくなります!
相手の発言に対する反論として
I can play the piano.「ピアノを弾くことができます。」
と言う場合、最も強調したいのはピアノを弾く「ことができる」という部分ではないでしょうか?
相手から「できないでしょ」と言われたのに対して、「いやいや、できるよ!」といった感じです。
となると、強調して発音される単語は can になります。
I can play the piano.「ピアノを弾くことができます。」
英語では「強調される単語は長く強く発音される」ので、この場合の can の発音は「キャーン」のように聞こえます。
なんと、can’t →「キャーン」に近い発音になることもあるんですね!
このように can と can’t の発音は、状況によって変化するうえに似通っている場合も多いので、たくさんの音声を聞き比べて耳を鍛えることが重要です。
参考になりそうな YouTube ビデオがありましたので、ご興味ありましたらご参照ください。
いかがでしたか?
「英語も、カタカナのようにはっきり発音してくれたらこんなに苦労せずに済むのに…!」と感じるのは、私も含めて多くの英語学習者に共通の悩みです。
私たち日本人は、カタカナの発音法則をマスターしたうえで、日常的に日本語に触れているからこそ、ペラペラと日本語の発音ができます。
英語の発音を聞き取れるようになるにも、英語の発音法則を理解したうえで、たくさんの英語の音声にふれることが欠かせません。
ぜひ実際の発音を聞いて練習しながら、英語の発音に慣れていきましょう!